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情報処理と環境に関する研究報告
AL_COM.IER1 March 1,2002
生体に対する操作に,環境的制御と遺伝的制御がある.地球の多様な環境に適応してきたある種の生物に生物界の進化の過程にみられる生体システムの変化が生じた.生体が外部から受けた情報に対する影響がこの生体システムの変化である.
生体を操作できるシステムがある.たとえば,多細胞動物の神経系や内分泌系がそのシステムである.これらの器官が伝達・統合した,環境からの情報や生体内部の情報で,多細胞動物は活動する.
生体システム自身がその完全な機能を営めないために,その環境で生活するのに都合が悪くなる生物の諸性質は医学・生物学などで知ることができる.
このような問題を解決する方法として,著者は,人工的に生体システムを操作する方法を提案する.本報告書の方法には,数学的モデルに基づいたその制御も含まれており,数学的解析が可能である.このために,一般にはコンピュータを使った解析あるいはシミュレーションなどをおこなうことができる.このことは,情報の大容量かつ高速な処理を可能とする.また,ロボット(付録参照)・サイボーグ(付録参照)・機能の代行システムに応用できる.さらに,「生命現象の主として情報的側面を非有機的あるいは有機的人工物として構成的に捉えたもの」1)である人工生命に応用できる.本研究室では,コンピュータの中で記号の列や,種々の図形等で表現される人工生命体の交配・増殖・運動・摂食・学習・適応・進化といった生命様の人工物を構築し,「そのありさまをシミュレーションなどによって明らかにすることによって,現存する生命の諸側面の理解を深めようとする弱い人工生命」1)に限らず,「およそ生命とよびうる物を構築しその挙動を解明することを人工生命研究の目的とする考え方」1)である「強い人工生命」1)における応用を考えている.
ここで述べた現状の問題点と必要性から著者は,本報告書で以下のような考察をおこなった.2章では,生体システムと環境について論じている. 2.1で生体への刺激(付録参照)と生体の反応(付録参照),2.2で環境に依存する生体内の特性,2.3で生体システムと環境の簡単な数学的モデルを論じている.この生体と環境のモデルに基づいて,生体の制御についての簡単な考察を3章でおこなう.3章では,生体情報処理から生じている生体現象を制御する技術について考察をする.この考察には,2章で考察した数学的モデルを使っている.さらに,生体現象を制御する技術の応用として,生体システムと環境を制御する技術についての考察をしている.
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